コインゲーム(10)

これまでは、当たりの種類が1つのゲームを考えてきた。
しかし、実際のスロットマシンなどは、
当たりの種類が10種類、20種類とある。


3種類で考えると、
当たる確率と返ってくるコインの枚数が、

20%,2枚
6%,5枚
1%,20枚

で、リターンが90%となる。


当たりの種類をnとし、
それぞれの当たりの確率を、

p1, ... , pn

返ってくる枚数を、

m1, ... , mn

また、

p = p1 + ... + pn
r = m1p1 + ... + mnpn

とする。
そうすると、今までとほぼ同じ、
違うのはqとFの満たす方程式くらいである。
Fはn元の多項式で、(超)平面
y = N + (m1 - 1)x1 + ... + (mn - 1)xn
を超えない(k1, ... , kn, N + (m1 - 1)k1, ... , (mn - 1)kn))への経路の数が、
x1k1...xnknの係数となる。
(以下、めんどいのでEinsteinの略記法を使う)

 \vec q = (q_1, ... , q_n) = (p_1(1 - p)^{m_1 - 1}, ... , p_n(1 - p)^{m_n - 1})
 x_iF^{m_i} - F + 1 = 0

まず、コインがなくなるまでのゲーム回数の平均は、

 <X> = m_iq_i\partial_i f(q) + N

さきほどの方程式より、

 F^{m_i} + m_jx_j\partial_i FF^{m_j-1} - \partial_i F = 0
 \partial_i F(q) = \frac{1}{(1-p)^{m_i}(1-r)
 \partial_i f(q) = \frac{N}{(1-p)^{m_i-1}(1-r)
 <X> = \frac{N}{1-r}

といつもと同じになった。


分散は、

 \sigma^2 = <X^2> - <X>^2
 X^2 = (N + m_ik_i)(N + m_jk_j)
 = N^2 + 2Nm_ik_i + m_im_jk_ik_j
 m_im_j<k_ik_j> = m_im_jx_j\partial_jx_i\partial_if|_{x=q}
 = m_im_iq_i\partial_if(q) + m_im_jq_iq_j\partial_i\partial_jf(q)

ここで、

 \partial_i\partial_jf = N(1-p)^N(\partial_i\partial_jFF^{N-1}
 + (N-1)\partial_iF\partial_jFF^{N-2})
 = N(1-p)\partial_i\partial_jF(q) + \frac{N(N-1)}{(1-p)^{m_i+m_j-2}(1-r)^2}

また、

 m_i\partial_jFF^{m_i-1} + m_j\partial_iFF^{m_j-1}
 + m_l(m_l-1)x_l\partial_iF\partial_jFF^{m_l-2}
 + m_lx_l\partial_i\partial_jFF^{m_l-1} - \partial_i\partial_jF = 0
 \frac{m_i+m_j}{(1-p)^{m_i+m_j-1}(1-r)} + \frac{m_l(m_l-1)p_l}{(1-p)^{m_i+m_j-1}(1-r)^2}
 +(r-1)\partial_i\partial_jF(q) = 0
 \partial_i\partial_jF(q) = \frac{(m_i+m_j)(1-r) + m_l(m_l-1)p_l}{(1-p)^{m_i+m_j-1}(1-r)^3}

より、

 \sigma^2 = -\frac{r^2}{(1-r)^2}N^2 + \frac{m_im_ip_i}{1-r}N
 +m_im_jNp_ip_j\frac{(m_i+m_j)(1-r) + m_l(m_l-1)p_l}{(1-r)^3}
 +\frac{r^2}{(1-r)^2}N(N-1)
 = \frac{m_im_ip_i - r^2}{(1-r)^3}N

普通に表記すると、

 \sigma^2 = \frac{\sum_i{m_i^2p_i} - r^2}{(1-r)^3}N

最後だけ、ちょっと変わった結果になった。
いや、こう書けば単なる足し算か。

 \sigma^2 = \frac{\sum_i{m_ip_i(m_i-r)}}{(1-r)^3}N


これでおしまい。
1ヶ月かかったね。