正規分布の近似(9)

さいころを10回振って足し合わせると正規分布に近くなる、
と前に書いたが、
ここでは一様分布を10個足し合わせると正規分布に近くなることを見た。


ところで、一様分布を足すというのはどういうことだろう。
ここでは一様分布p(x)は、0〜1の値を一様に出す乱数の分布と考える。
すなわち、

 p(x) = \left\{  {1 \text{  0 }< x <\text{ 1}\atop0\text{ otherwise}}\right

これを2つ足し合わせるということは、
たとえば、0.7が出るということだったら、
0.5と0.2が出るとかということである。
一般に、xだったら、tとx-tということである。
だから、

 \int{p(t)p(x-t)dx}

と書ける。
こういうのを「畳み込み」(convolution)といい、

p * p

と書く。
p(x)をn個足した分布をpn(x)と書くと、

p1 = p
p2 = p * p
p3 = p * p * p

などとなる。


一様分布を10個足し合わせるということは、
すなわち9重の積分をするということで、
10次元の体積を求めるということになる。
こういう次元の高い積分は一般に代数的に求めるのは困難だが、
以前からやっているようにモンテカルロ法を使うと非常に簡単で、
Cでも数十行で書ける。


だが、本当に代数的に求められないのだろうか。
多項式積分しても所詮多項式であるから、
何回畳み込みをしても次数は高くなっても多項式であることには変わりない。
これを実際にやってみよう。